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乳がんサポートネット

医師からの回答

Q
乳がんと性器ヘルペスの治療を並行していく際の注意点をおしえてください。2024年10月30日に左乳房の温存とセンチネルリンパ節検査の手術をうけました。リンパ転移はセンチネルに2.2㎜の転移がありましたが、郭清は希望しませんでした。4日後に退院した際、首に発疹がみつかり、あれよあれよと左上半身に広がり、アレルギーのお薬を処方していただき、現在は落ち着いています。それから2日ほどして性器ヘルペスができました。今まではバルトレっクスを飲み2日くらいで緩和していたのですが、今回は4日目にして効果が感じられません。また、足の付け根の違和感と脛にかゆみが出ています。今後も放射線治療やホルモン療法、抗がん剤とフルコースの治療になった場合、性器ヘルペスがずっと出ている状態になったち、下肢のリンパ浮腫になりやすかったりするかと思うと、不安が押し寄せてきて眠れなくなっています。乳がんと性器ヘルペスを発症している人なんて私だけなんじゃないかと思うと、ほんとにつらいです。でも、頑張って治療したいので、なにかアドバイスまたはご経験談などを御教授頂けますと幸いです。
A
医師からの回答
回答医師:杉江知治
回答日:2024/11/18
ご質問ありがとうございます。性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによるウイルス感染症であり、アシクロビル,バラシクロビル,またはファムシクロビルなどの抗ウイルス薬で治療します。ウイルス感染症は、ご自身の免疫によってコントロールされますので、免疫が正常に機能している場合は、症状は軽快します。私の担当した乳がん患者さんの中で、あいにく性器ヘルペスを合併症された方はおられませんが、帯状疱疹の患者さんの例からみて、治癒したあと瘢痕や神経痛が残ることはありますが、浮腫が残ることはないでしょう。
しかし、免疫能が低下すると、一旦、症状が軽快しても再発する可能性があります。特に、抗がん剤の場合には、免疫能の低下を招く可能性がありますので、今後、抗がん剤治療が予定される場合には、性器ヘルペスの症状が軽快してから治療を開始することをお勧めします。一方、乳がん術後の放射線治療やホルモン療法が免疫に与える影響は低く、放射線治療の照射野も下半身からはなれた胸部になることから、例え性器ヘルペスの症状があっても治療を開始しても心配ないと思います。
帯状疱疹の場合には、予防ワクチンがありますが、性器ヘルペスには予防ワクチンがありません。性器ヘルペスの再発予防には、性生活に注意するとともに、頻繁に再発する場合(例,年6回以上)には,担当医と相談して抗ウイルス薬によるウイルス抑制療法を受けても良いでしょう。